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塩田亮吾
特集
外国ルーツの子どもたちが突き当たる「にほんご」の壁
1/24(火) 15:13 配信
近年、日本の学校に「外国にルーツを持つ子ども」が増えている。来日間もない外国籍の子や、親が外国出身で日本語が母語でない子の場合に問題となるのが、教育の前提となる言葉の壁だ。例えば、日常会話はできても、ひらがなの作文しか書けず、授業内容を理解できないフィリピン出身の中学生。中国から来日した男子は、数学の試験でも日本語の問題文が最大のハードルだと感じながら高校受験に挑む……。それぞれの背景を持つ子どもに合わせた指導は現場の判断に委ねられており、配慮や苦心が続く。自治体によっても対応に差があるなか、先進的といわれる大阪市での取り組みから、日本語教育の実情を追った。(ノンフィクションライター・秋山千佳/Yahoo!ニュース編集部)
子どもたちのルーツはフィリピン、中国……

日本一高いビル「あべのハルカス」にほど近い、大阪市立阿倍野中学校。ここには、周辺の中学校から生徒が通ってくる日本語教室がある。平日午後の授業を訪ねると、2人の生徒がそれぞれマンツーマンで教師と向き合っていた。

外国にルーツを持つ子が日本語を学ぶことは、日本で受けるすべての教育の入り口になる(撮影: 塩田亮吾)
母親の母国フィリピンから小学6年生で来日した2年生の男子は、作文を見てもらっていた。「『すると』の使い方が上手やね」と褒められると「だってオレ、日本人やもん。ハーフや」と胸を張る。会話だけ聞くと普通の生徒のようだが、綴っていたのはこの教室で覚えたひらがなのみ。絵本の朗読では、「こんな はぶらし(歯ブラシ)で」を「こんなは ぶらしで」と読み違える。
一方、2015年末に来日した中国人の3年生女子は、日本語の音声の聞き取りをしていた。会話はたどたどしく一聴して外国出身とわかるが、漢字圏の強みか、手元のプリントを見ると「携帯電話」「高価な」といった漢字を交えた文章を書いており、読み書きは得意そうだ。
指導にあたる教員の矢嶋ルツさん(57)は、「ここに通ってくる子はそれぞれ言語、文化、成育歴が違うので、その子に応じた指導が必要になってきます」と話す。
文部科学省の2014年度の統計によると、全国の公立小中学校、高校、中等教育学校、特別支援学校にいる日本語指導が必要な児童生徒は、3万7095人(外国籍2万9198人、日本国籍7897人)。その数は10年前と比べて約1.6倍に伸びている。
大阪市では、日本語指導が必要な子ども(小中学生)の数は522人で、公立小中学校の4割にあたる172校に分散して在籍している(2016年5月現在)。小学1~3年生なら、市の「日本語指導協力者派遣事業」により、週に2回学校を訪れる日本語指導協力者の指導を受けられるが、小学4年生以上になると在籍校で日本語指導を受ける機会は失われる(該当者が多く集まるわずか9校に限り、日本語指導に関わる教員が配置され、在籍校で日本語指導が受けられる)。

センター校の生徒が日本語学習の一環で作成した、自身のルーツである国を紹介するポスターと飾り(撮影: 秋山千佳)
在籍校では指導を受けられない児童生徒に対応するため、大阪市は独自の取り組みとして、小中各4校を「帰国した子どもの教育センター校」(以下「センター校」)に指定。子どもたちが通常の授業を抜ける形で週2回ほど1回2時間、近くのセンター校の日本語教室に通うことで、1年ほどで基本的な日本語を習得できるようにしている。
冒頭の阿倍野中もその一つ。2016年11月時点で18人の生徒が通い、矢嶋さんら2人の教師から、マンツーマンか少人数のグループでの指導を受けている。その日本語指導は、全国自治体のなかでも「先進的」とされている。
ただ、センター校修了のレベルでは、中学校の授業で使われる言葉をすべて理解できるまでには達しない、と矢嶋さんは言う。
「もう少し勉強する場を保証してあげたいし、センター校修了後は在籍校で個別指導をしてほしいのですが、多忙な学校になかなかその余裕はない」。さらに高校に進学するためには、彼らがセンター校へ通うために抜けざるを得ない教科の学習も不可欠だが、指導時間の限られたセンター校ではそこまで手が回りきらない。
そこでセンター校の教員が現場レベルで情報共有などの連携を図り、生徒に紹介しているのが、市内の学習支援ボランティアだ。
理科も社会も、授業がわからない

そうした連携先の一つである「サタディクラス」は、2003年に阿倍野中の日本語指導教師だった坪内好子さん(68)が始めた課外支援に端を発する、外国にルーツを持つ子のための学習支援教室だ。

サタディクラスには2016年末時点で18人の外国人の子どもが登録している。毎週の出席は自由だ(撮影: 塩田亮吾)
市内随一の繁華街・梅田の教室には、毎週土曜日の午後、中国やフィリピン、タイやネパールにルーツを持つ小学1年生から高校3年生まで(母国での中学既卒者含む)の子どもたちと、講師となるボランティアとが、毎回それぞれ10人ずつくらいやってくる。
7月に中国から来日し高校受験を控えた男子は、机に数学のプリントを広げて黙々と取りかかっていた。確率の問題で手が止まり、横についていた女性の講師に「問題文の意味はわかりましたか?」と聞かれて首を横に振った。
「一方が他方の約数となる確率を求めよ」という問題文のうち、「一方」「他方」「約数」という言葉が理解できなかったのだ。講師から6の約数を例にやさしい日本語で説明を受けながら、真剣な表情でうなずく。

来日から半年ほどの小学1年生の女子。学習を見守っていた坪内さんは、「字を書くのを見たのは今日が初めて」と成長ぶりを喜んだ(撮影: 塩田亮吾)
坪内さんはもともと中学校の美術教諭だったが、80年代にブラジル出身の男子生徒の担任となった経験から「困っている子たちに密着できるセンター校で教えたい」と希望。1996年に阿倍野中に着任し、日本語指導の専任教員として、日本語を知らずに来日する子たちと向き合った。
転機は03年。センター校での元教え子で、高校へと送り出したばかりの男子が「理科や社会の言葉が全然わからない、授業についていきたいから教えて」と駆け込んできたのだ。
日常会話には困らなくても、一般的に、学習言語を身につけるには7年ほどかかるといわれている。坪内さんは校長の許可を得て、休日の教室を使ってマンツーマンでの課外支援を始めた。
口コミで生徒は増え、05年には大学生や社会人のボランティア講師を集め、「サタディクラス」を発足した。活動の柱は、日本語指導とともに、学校だけでは十分といえない高校受験の勉強の支援になっていった。

サタディクラスを運営する坪内好子さん。接する子どもたちには必ず「私はあなたの味方よ」と伝えるという(撮影: 塩田亮吾)
サタディクラスのOBで、プール学院大学(大阪府堺市)3回生のウィチャイディット・チャヤトーンさん(21)は、「自分が変われたのは、やっぱり高校に行けたことが大きい」と振り返る。親の仕事の関係でタイから14歳で来日し、中学2年に編入した彼だが、当時は日本に来ることが嫌だったし、日本語能力もゼロだった。センター校に通うようになり徐々に日本語を覚え始めたが、在籍校では彼と妹が初めての外国人生徒であり、教師はどう対応していいかわからない様子で、友人は一人もできなかった。自分から日本語で話しかける勇気もなかったという。
中学3年の夏、妹からサタディクラスの情報を聞いて足を運んだ。外国出身の子たちが集中して学ぶ様子に、「自分も日本語だけでなく受験勉強をしないとアカンな」と思い至って参加を決めた。
サタディクラスにいる同じような境遇の他の子たちとは、国籍が違ってもすぐに打ち解けられた。彼らと席を並べて半年間、日本語と同時に英語や数学を勉強することで、目標だった府立高校に合格。高校では初めて日本人の友人ができ、日本社会に受け入れられたと実感できたという。そこから日本語や英語の力を伸ばしたいという思いが芽生え、奨学金とアルバイト代で学費を工面して大学へも進学した。
ウィチャイディットさんは今、「卒業後は日本で就職したいし、タイと日本との懸け橋になれたらいい」と夢を描く。
坪内さんは、「日本社会で生きていくうえで高校に行けるかどうかは人生を左右するし、高校に合格して自信を持つことで、その子の世界が変わります」と話す。サタディクラスではこれまで高校進学を希望した約150人全員が高校に合格したといい、今ではウィチャイディットさんらOB・OGが、坪内さんの活動を手伝う側に回っている。

サタディクラスでは、慣れない日本社会で緊張しがちな一人ひとりに寄りそって安心できる時間を提供するため、マンツーマンでの指導が基本だ(撮影: 塩田亮吾)
日本国籍で日本名でも、日本語指導が必要な子がいる

現在、日本で働く外国人労働者の数は年々増加しており、2015年10月末時点で約91万人と過去最高を記録した(厚生労働省)。人口減少による労働力不足を補うため、政府はさらに受け入れを拡大する方針で、労働者となる親に伴われて来日する子どもも増えていく見通しだ。
再び文部科学省の2014年度の統計を見てみると、全国の市町村のおよそ半数(47.1%)が、「日本語指導の必要な外国籍の児童生徒が1人以上いる」と回答。「日本語指導の必要な日本国籍の児童生徒が1人以上いる」も32.9%にのぼる。
一方で、そうした児童生徒のうち、日本語指導を受けているのは3万379人(外国籍2万4197人、日本国籍6182人)。全国の日本語指導が「必要」な子(3万7095人)のうち、学校で日本語指導を全く「受けていない」子が20%近くいるということになる。地域や学校によって、教育を受けられるかどうかという大きな格差が生じているのだ。
しかも、日本語指導を必要としている子どもの数自体が少なく見積もったものでしかない。大阪市と同様に日本語教育に力を入れてきた東京都墨田区で、主に中学生の日本語指導の拠点となっている「すみだ国際学習センター」指導員の木下裕人さんによると、見落とされがちなのは日本国籍の子だと言う。例えば母親が外国出身で、本人は日本国籍を持つものの、日本と母親の母国を行ったり来たりして暮らしてきたようなケースだ。
「日本語指導が必要な児童生徒の在籍数調査にゼロと回答してくる学校もありますが、探してみると、日本名だし、それなりに会話ができているから指導は必要ない、と判断されていることがあります。授業で使う学習言語と日常会話は違うということが学校にまだまだ浸透しておらず、本当は支援が必要なのに『ちょっと勉強のできない子』で終わってしまう」(木下さん)

センター校の教師たちがやさしい日本語を用いて作成した教材。「日本語指導と教科の理解とを少しでも結びつけたい」という思いから生まれたものだ(撮影: 秋山千佳)
外国籍の子については、さらに根本的な問題がある。義務教育の対象外ということだ。外国にルーツを持つ子どもの教育について複数の著作があり、全国各地の教育実態について調査してきた東京女子大学名誉教授の佐久間孝正さんはこう指摘する。
「教育界の憲法である教育基本法が『国民教育』を前提としていて、外国人に就学義務が課されていないことで、対応が自治体任せになってしまっているのが問題です」
教育基本法では、教育の目的を掲げた第一条に「心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とあるのをはじめ、教育の主体を日本国民としている。ただ、日本政府は国際人権規約などに批准している関係で、外国籍の子どもが教育を受ける「権利」は認めている。
しかし佐久間さんによると、東京都内のある自治体で、就学相談に訪れた外国人の親子に、教育委員会が「もう少し日本語を話せるようになってから来てください」と対応した例が最近もあったという。また、外国人が少ない地域の学校では、いざ就学しても、教室でただ座っているしかない子どもを目撃することもあったという。それゆえ不就学になったり、不登校になったきり放置されていたりすることも起こる。
佐久間さんは、「いい自治体にあたって大学まで出た子もいれば、小中学校の段階で門前払いだったという子もいて、たまたま住み着いた場所で驚くほどのバラツキがあるような事態は、先進諸国で他にないのでは。市民ではなく国民の教育にこだわっているのは、グローバル化著しいこの時代にそぐわない。政府は、外国人の子の義務教育化を本気になって考えるべきときだ」と話す。

外国人の子の高校進学率は自治体によって大きな差がある。住み着いた場所が、子どもたちの人生の明暗まで分けてしまいかねない(撮影: 塩田亮吾)
外国ルーツの子に教育を保障することの意味

外国にルーツを持つ子どもに教育を保障するのは、本人のためだけでなく、この社会のためでもある。
2009年、さいたま地裁は全国初の通訳付きの裁判員裁判で、強盗致傷罪に問われたフィリピン国籍の男性被告(事件当時19歳)に懲役5年の判決を言い渡した(後に確定)。14歳で来日し、日本語を十分に理解できないまま高校受験に失敗し、同国籍の不良グループに入った生い立ちなどが考慮され、法定刑の下限を下回る量刑となった。
東京都墨田区で「外国人生徒学習の会(FSC)」を開く藤田京子さん(82)は、「学校に適応できなかったり学習についていけなかったりして希望を失った子は、非行化することもある。それを防ぐには、学習のサポートが必要なのです」と話す。
一方、大阪市で暮らす中国出身の会社員女性(33)は、サタディクラスの坪内さんの教え子の一人だ。親の仕事の関係で中学2年のときに来日し、坪内さんに一から日本語を教わり、受験勉強の面倒を見てもらった。大学生のときに家族は帰国したが、「坪内先生や周りの人に助けられてきたという感謝の気持ちが大きかった」ため、単身日本に残った。ときにサタディクラスで坪内さんに励まされながら大学院まで出て日本企業に就職、社内唯一の中国人として語学力をいかして働いている。
「今では納税者になってこの国に貢献していますよ」と笑いながら、彼女は言う。「教育は種まきのようなもので、すぐに利益の出るものではないし芽が出ないものもあるけれど、花が咲くこともある。私もこれから、教育のような人の役に立てることをしていきたいです」

サタディクラスの授業開始時と終了時には、指名された生徒が日本語であいさつを読み上げ、参加者全員で礼をする(撮影: 塩田亮吾)
秋山千佳(あきやま・ちか)
1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当。2013年に退社し、フリーのノンフィクションライターに。著書に『ルポ保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』、『戸籍のない日本人』。
[写真]
撮影:塩田亮吾
写真監修:リマインダーズ・プロジェクト
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トランプ大統領の誕生が示す歴史的な意味としての「先進国の開発途上国化」

六辻彰二 | 国際政治学者
2017年1月21日 17時49分 配信

連邦議会議事堂で就任の宣誓を行うトランプ氏(2016.1.20)(写真:ロイター/アフロ)
1月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任しました。選挙戦で展開された方針がどこまで実現されるかは未知数ですが、そうであるがゆえに各国はその動向を注視せざるを得ません。

ただし、保護主義的な貿易政策やヒトの移動の制限は、冷戦終結後に米国自身が主導して作ってきたグローバル化の潮流を否定するもので、それは「グローバル化の終わりの始まり」とも呼べます。以前に述べたように、「米国第一」を掲げ、国際秩序の形成と距離を置くという方針が実現されれば、それは米国が超大国の座を降りることを宣言するものに他ならず、戦後、特に冷戦終結後の国際秩序は大きな転換点を迎えたことになります。

その一方で、より長期的な視点でみたとき、トランプ氏の大統領就任には、もう一つの大きな意味を見出すことができます。それは「先進国の開発途上国化」とでも呼べる現象で、世界全体の西洋化に対する、非西洋世界からのある種の逆襲でもあります。

反歴史的な「国民」
トランプ氏は「米国を再び偉大にする」と叫び、「国民の結束」を求めました。その一方で、ムスリムやヒスパニックをはじめとする外国人、そして性的少数者に対する排他的な言動は、「それらを排除することで理想的な米国社会を取り戻せる」という前提に基づいています。裏返せば、そこには「理想的な米国人」イメージに基づく「国民」イメージがあるのですが、その要素としては白人、キリスト教徒、異性愛者などの属性を見出すことができます。

ただし、米国社会がこれらの属性をもつ人々によってのみ支えられてきたというのは、一種の神話に過ぎません。

20世紀を代表する政治哲学者の一人ハンナ・アレントは、著書『革命について』で、アメリカ革命(日本でいうアメリカ独立戦争)とフランス革命を「自由の創設」という観点から比較して、前者を成功、後者を失敗と分類しました。フランス革命は貧困や格差といった社会問題をエネルギーにしていたがゆえに、王政の打倒と生活状況の改善がイコールで想定されていました。しかし、政治体制が変更されただけで人々の生活がよくなるはずはなく、国王を断頭台に送っても一向に社会問題が解決しないことが人々の不満を増幅させた結果、ロベスピエールの恐怖政治やナポレオンの登場といった政治的混乱が生まれました。これに対して、アメリカ革命は入植して既に経済的に自立していた独立自営農民を主体としていたため、その目的は「自分たちで自分たちのルールを作る」ことに集中し、それ以上のものを政府に求めることはありませんでした。その結果1787年に制定された合衆国憲法は、修正を重ねながらも、基本的に現在まで続いていますが、これは20世紀に至るまで王政、共和政、帝政などが目まぐるしく入れ替わったフランスと比較して、米国の政治的安定を示すといえます。

ただし、ここで注意すべきは、貧困や格差が蔓延していた当時のヨーロッパ諸国と異なり、なぜ当時の米国人が経済的に自立していたか、ということです。ここに関して、さすがにというべきか、アレントは奴隷制の存在を指摘することを忘れませんでした。つまり、黒人奴隷の困苦のうえに白人入植者の経済的自立は成立していたといえます。

当時の法律では、奴隷に人権は認められていなかったので、法的には「黒人は米国人でなかった」となります。とはいえ、少なくとも「米国社会がキリスト教徒の白人のみで成り立ったことは一度たりともない」ことだけは確かです。つまり、トランプ氏あるいはその支持者が振りまく「国民」イメージは反歴史的な「過去のイメージ化」によって立つもので、現在の米国人の多数派を占める属性をもって「国民」と強弁する傾向が顕著といえるでしょう。

フィクションの誕生
もちろん、特定の属性をもって「国民」イメージが作られることは、トランプ氏に始まったことではありません。その古典的な例として知られるのは、1492年のスペインにおけるユダヤ教徒追放令です。

15世紀のスペインでは、中央集権体制が急速に形作られていました。そのなかで「スペイン」という国家のメンバーである「スペイン人」イメージを作る際、「キリスト教徒」であることが共通項として想定されたといえます。ヨーロッパでユダヤ人が迫害されたことは広く知られていますが、それはキリスト教が絶対的な権威だった中世よりむしろ、「国家」や「国民」という概念が普及した近代において、より激しくなったのです。

ただし、このような強制的措置もありながらも、近代西洋では「国民」イメージが比較的受け入れられやすい環境にあったことも確かです。ヨーロッパの国境線は非常に複雑ですが、それは数百年に渡って幾度となく戦争を繰り返して確定されたものです。そのため、長い時間をかけて、文化や言語の広がりが、国境線によって相当程度区切られることになりました。

また、政治学者アーネスト・ゲルナーが指摘するように、18世紀に生まれた産業革命も、「国民」イメージの形成を促した条件になりました。産業革命によって資本主義経済が発達したことは、貴族と平民といった封建的身分制を破壊しました。それまで、一つの国であっても貴族と平民は別個の存在としてあり、「国民同士」ではありませんでした。つまり、身分制の崩壊は、それに代わる新たな「我々」イメージの形成を促したといえます。それに加えて、産業化が進んだことで、各国では農村や地方を単位とする自給自足に毛の生えた状態から、一つの国を単位とする国民経済が生まれました。それは、やはり長い時間をかけて、人々の移動範囲や、法律の適用範囲にもおよそ重なって発達したことで、人々に「国家」や「国民」といったイメージを抱かせやすくしたといえます。

つまり、国境線で文化がかなりの程度区切られ、そのなかで人々の生活圏が確立したことで、西洋では「国民」としての自覚をもちやすい環境が醸成されたのです。

これと連動して、アメリカ革命やフランス革命に象徴されるように、18世紀の西洋では民主主義が普及しましたが、これも「国民」イメージの形成と無縁ではありませんでした。専制支配を拒絶した後、国家の主権を引き継ぐ主体が誰なのかという話になった時、一番分かりやすかったのは「総体としての国民」でした。

こうして、例えスイスのように公用語が4つあったとしても「スイス人」がいるように、西洋世界では文化的な違いを超えて、フィクションとしての「国民」が実際に存在するものとして扱われるようになったのです。フィクションとしての「国民」が多少なりともリアリティあるものとして普及したことは、西洋に特有の条件が重なった、極めて特殊なものだったといえるでしょう。

開発途上国の苦悩
このフィクションは、18世紀からの列強による植民地支配と、19-20世紀にかけての独立を通じて、非西洋世界に「移植」されることになりました。しかし、当然というべきか、現在の先進国の多くを占める西洋世界で長期にわたって形作られたこのフィクションが非西洋世界、つまり現在の多くの開発途上国に定着することは困難でした。

開発途上国の多くでは、選挙が行われていたとしても民主主義が必ずしも定着しておらず、個人の権利などが制約されがちです。その一方で、強権的な政府は国民統合の求心力としてナショナリズムを叫ぶことが一般的で、そのなかで支配者個人がカリスマ化されることも稀ではありません。その大きな背景には、「国民」としての意識の薄さがあげられます。

例えば、イラクでは2003年のイラク戦争でフセイン政権が倒され、2005年の選挙で初めて民主的な政府が樹立されました。しかし、その結果として誕生したマリキ政権のもとで、人口の約60パーセントを占めるシーア派が政府の要職を占め、豊富な石油資源からの収入のほとんどは中央政府を通じてシーア派に手厚く配分されました。露骨なシーア派優遇にスンニ派やクルド人が不満を募らせたことは、いわば当然でしたが、米国などがこれに忠告すると、マリキ首相(当時)は「イラク・ナショナリズム」を前面に掲げ、これに反発しました。この状況下で台頭した「イスラーム国」(IS)に、スンニ派住民のなかから自発的に参加する人々が現れたことは、不思議ではありません。すなわち、マリキ首相も、ISを支持したスンニ派住民も、「イラク国民」という、あるのかないのか分からない結びつきより、「シーア派」、「スンニ派」という確固たる結びつきを選んだといえます。

イラクのように激しい戦闘にまで至るケースは稀ですが、多くの開発途上国ではフィクションとしての「国民」が、文字通りのフィクションに過ぎないものになりがちです。そこには、多くの開発途上国に共通する条件があります。現在の国境線の多くは植民地支配の遺物であり、現地の文化や言語の広がりと無縁にひかれたものです。そのため、一つの国のなかに多くの民族や宗派が林立したり、逆に一つの民族や宗派が国境線で分断されたりすることは珍しくありません。

これに加えて、多くの開発途上国では、西洋世界のように「国家」が経済的単位として成立することもありませんでした。イラクの石油に象徴されるように、帝国主義時代にアジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカでは西洋向けの輸出産品の生産が中心の経済構造が確立され、その傾向はグローバル化によって加速しました。つまり、フィクションとしての「国民」を、多少なりともリアリティあるものとして受け入れることを可能にする物質的な条件も、開発途上国では揃わなかったのです。

例えば、アフリカ大陸で最も人口の多いナイジェリアの場合、公式に確認されているだけで250以上の民族がいるといわれます。ワールドカップなどでナショナルチームを応援することはあっても、サッカーの試合が終わればそれまでの、極めて薄い国民意識しかない国がほとんどであることに鑑みれば、多くの開発途上国が分離独立運動を抱えていることは、偶然ではありません。

そのような状況の下で、国家権力を握る(多くの場合は多数派の)民族や宗派は、ナショナリズムを叫ぶことで、自分たちの支配を正当化しやすくなります。しかし、その実態は、イラクのシーア派のように、特定の集団の利益を代弁したものに過ぎず、それがあからさまであるほど、力ずくで抑え込むか、経済的な利益をばらまくことでしか、自らの正当性を保てなくなります。こうしてみたとき、開発途上国に「独裁者」と呼ばれる人間が多いことも、選挙がただ多数派の支配を追認する儀式でしかないことも、経済的な恩恵を与えることが前面に出やすいことも、全て当然の帰結といえるでしょう。

それは裏返せば、我々が「普遍的なもの」とみなしがちな「国民」という観念そのものが、近代西洋(と日本のようなごく例外的な国)においてのみ、多少なりともリアリティをともなって成立した、きわめて特殊なものであることを意味するのです。

開発途上国の逆襲
ところで、今さらいうまでもなく、トランプ氏の大統領就任だけでなく、ヨーロッパでの極右政党の林立や分離独立運動の高まりなど、日本を含む先進国では「国民」を強調する勢力の台頭が目立ちます。その直接的な背景には、移民の急増や経済的な困難があげられますが、これらはいわば、これまで先進国でフィクションとしての「国民」が広く受け入れられていた状況が覆った結果といえます。

グローバル化によってヒトの移動が自由化したことで、先進国にはそれまで以上に多くの地域から人間が集まるようになりました。いまやムスリムがロンドン市長になる時代です。その一方で、やはりグローバル化によって、先進国企業が開発途上国への進出を加速させました。それは従来以上に生産活動を活発化させる原動力になったとはいえ、経済的な単位としての「国家」のリアリティを、限りなく薄くする効果もあったといえます。こうして、フィクションとしての「国民」に、多少なりともリアリティを与えていた、先進国に特有の特殊条件は衰退していきました。

しかし、この状況は、これまでみてきたように、開発途上国ではむしろ当たり前のことでした。先述のように、西洋世界で生まれた「国民」の観念は、いわば西洋世界やごく少数の例外でのみ成立する特殊なもので、世界中のほとんどの地域では、まさにフィクション以外の何物でもないものであり続けました。その結果、開発途上国では、ナショナリズムを高唱しながらも、批判的な勢力をムチで抑えるとともに経済的な恩恵というアメを与えることで、分裂する国内を支配する権威主義的な政府が多くならざるを得ませんでした。それは、「特殊なもの」を「普遍的なもの」として植え付けてきた無理が生んだものともいえます。

言い換えると、先進国を中心とするグローバル化が進行した1990年代以降、開発途上国からヒトやモノが押し寄せるなかで、フィクションとしての「国民」を成立させていた特殊条件が衰退したことは、開発途上国が長く直面し、苦労してきた状況が、先進国に上陸したことを意味します。トランプ氏やその周辺が「白人キリスト教徒の共和国」を理想化することは、「選挙で多数派を獲得した」ことを錦旗に、特定の文化集団の利益を「国民の利益」と位置付け、それ以外を(程度の差はあれ)合法的に抑え込もうとする点で、マリキ前首相がシーア派を優遇しながらイラク・ナショナリズムを高唱したことと、大差ありません。

こうしてみたとき、グローバル化は結果的に、植民地時代以来、西洋世界から押し付けられた基準により開発途上国が抱えてきた苦悩を、先進国に逆流させる契機になったといえるでしょう。そこには、一種のブーメラン効果を見出すことができます。

こうして生まれたトランプ現象、BREXIT、極右政党の林立、分離独立運動の活発化などは、フィクションである「国民」をリアリティあるものとして受け止められなくなったときに生まれたもので、「フィクションを本当のものにしようとする」試みともいえるでしょう。言い換えるなら、既存の国境線を否定するISを、近代西洋が生んだ「国民」というフィクションを全否定する急進派とするなら、トランプ氏はフィクションとしての「国民」にしがみつく守旧派の代表格と呼べます。

とはいえ、米国社会が白人のみで成立したことがないように、フィクションを現実にしようとすることは、開発途上国に「国民」を生み出そうとしたのと同様に、無謀と言わざるを得ません。むしろ、そこで求められるべきは、文化的に林立し、海外との経済取引に依存する現代社会に適応した、新たな「国民」イメージを構築することのはずです。少なくとも、環境に適応せずに「過去のイメージ」に囚われることが、生産的でないことだけは確かといえるでしょう。


六辻彰二
国際政治学者
博士(国際関係)。アフリカをメインフィールドに、米中関係から食糧問題、宗教対立に至るまで、分野にとらわれず、国際情勢を幅広く、深く、分かりやすく解説します。
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(C)六辻彰二

仏国民全員に750ユーロ(約9万円)のベーシックインカムは可能か?

プラド夏樹 | パリ在住ライター、ジャーナリスト
2017年1月22日 11時0分 配信

路上死した人への黄色いバラ。フランスには500万から880万人の貧困層がいる。
ホームレスの人も大富豪も
(1ユーロ=約122円、以下、日本円で記述)
今年5月に大統領選をひかえるフランス。大統領として史上最低の支持率を記録したオランド大統領(社会党)が再立候補を諦めたこともあり、「これでもう左派は終わり」とういうムードだ。

ところが、1月12日と19日、第二回社会党予備選の討論で、弱冠50歳のブノワ・アモン元文部・高等教育・研究大臣が、国民に最低限度の生活を保障することを目的としたベーシックインカム導入を提案、一躍、脚光を浴びた。

これは、2018年から、現在、積極的連帯所得手当(RSA)とよばれている生活保護費、日本円6万4千円を7万2千円に引き上げ、将来的には収入額にかかわらず、すべての国民に9万円を支給するというものだ。

現行の積極的連帯所得手当は、25歳以上の無収入および低収入所得者(月収1139.13万8千円以下)を対象にしている。金額は家族構成によって変わるが、独身で無職の場合には満額6万4千円が、3万円の収入がある人には、6万4千円から3万円を引いた差額が支給される。

しかし今回、アモン氏が導入を提案したベーシックインカムは、18歳以上の全国民を対象にしたもの、いってみればホームレスの人も億万長者ランキングに名を連ねる大富豪にも一律に支給されるものだ。

行政コスト削減、プラック企業淘汰にも
480万人の人が受給している現行の積極的連帯所得手当には多くの問題点がある。

まず、システムが複雑で、対象になる人の半分はその書類手続きの面倒さに耐え切れず受給を諦めるという問題がある。これに対してアモン氏は、「国民一律にすることで煩雑な書類審査が省かれる。それだけで行政コスト削減になるではないか?」と言う。

また、満額6万4千円では暮らしていけないというのも実情。「無いよりマシ」と言われても仕方がない金額だ。身近な例を挙げよう。

ミュージシャンの友人R。40代後半女性。積極的連帯所得手当の支給を受ける傍ら、昼間はベビーシッターとして無申告労働し、夜はバーで演奏し、やっと毎月約18万円の収入になる。パリ市内の2部屋のアパート代は約12万円が相場だ。不正なことをしている後ろめたさはあるが、こうでもしなければ、食べていくことができない。

脱サラして博士論文を執筆中のI。50代前半女性。夫は脳梗塞で急死し、地方都市で中学生の娘と二人で暮らしている。積極的連帯所得手当が母子家庭なので約11万円支給される。しかし、それだけでは小学校の娘との2人暮らしをやっていけない。この冬も電気代未払いが理由で電気が切られたと言う。無申告で家事代行サービス会社で働いてどうにか乗り切っている。

そうかと思えば、知人の息子、21歳は、「どうせ勉強しても仕事ないし」と、大学を中退。口座に自動振り込みされる積極的連帯所得手当で世界一周の旅に行き、出席が義務付けられている求職オリエンテーションの時だけ帰国する。「ちゃっかりしてるなー」とは思うが、審査がそれだけマヌケなものなら仕方がないだろう。

私には、「国民全員に9万円を」というアモン氏の提案は、このような現状を比較的、きちんと受け止めているのではないかなと思われる。ズルイ人もいるし、やむをえず無申告で仕事をしなければ食っていけない人もいる。ひとりひとりを監視することはできない。それならば、いっそのこと全国民に払い、働ける人は働けば良いと。

また、ベーシックインカムはブラック企業の淘汰に役立つかもしれない。フランスでは2008年から2009年にかけて主要電気通信事業会社フランス・テレコム(現オランジュ)で、リストラハラスメントによって35人が連続自殺したという事件があったが、ベーシックインカムが導入されれば、労働者側は、「クビになったら路頭に迷う」というプレッシャーが少なくなるし、雇用者側も、非人間的な労働条件を突きつけにくくなる。パートタイム労働が増えるかもしれないが、ワークシェアリングにつながるかもしれない。

でも、いったいどうやって捻出するの?
もちろん、ベーシックインカムを今すぐというのは無理だろう。社会党の中での反対意見も多い。

マニュエル・ヴァルス元首相は「労働して生活費を稼ぐことは尊いことだから」という理由でベーシックインカムに反対を表明している。

それもわかる。額に汗して生活費を稼ぐことは確かにひとつの「価値」だ。しかし、お金に還元できること以外は無価値というわけでもないだろう。家事、育児、近所の老人の世話、難民援助のボランティア、こういった無報酬の活動も同様に尊いのではないだろうか。

アルノー・モントブール元大蔵省大臣は、「ベーシックインカム実現には約4800億ユーロ、国内総生産総額の約79%相当をどこからか捻出せねばならない。増税は避けられない」と言う。

資産税から捻出ということになれば、「他人が遊んで暮らすことができるように税金を払うなんてとんでもない、それならば、外国に移住する」という富裕層はもちろん多くなるだろう。大会社はどんどん外国に移転するかもしれない。そう考えると、国民全員に750ユーロのベーシック・インカムをというのは、非現実的のみならず、危険かもしれない。

でも、まったく「夢」というわけでもないかもしれない。

フランスでは、70年前、第二次世界大戦直後、国民皆保険制度が導入された。3分の2の国民は無保険、国は瓦礫の山だった時期のこと、どうやって国を立て直すか、まったく先が見えない状況だった。しかし、今、フランスは、予約から診察までの待ち時間が長いとはいえ、ガンの化学治療から出産までほぼ無料の国になった。

今回の討論は、「どうやってワーキングシェアするか」、「深刻になる貧困問題改善のために自分にできることは?」、「自分を擦り減らす仕事を続けることに何の意味があるか」といった、日頃から人々が感じていたことを言葉にして、話し合うきっかけになった。弱肉強食型のネオリベラリズムに危機感を抱いている人は多い。政治家だけに任せてはおけないテーマだ。


プラド夏樹
パリ在住ライター、ジャーナリスト
慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。Global Press会員。
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中国人客離れ、韓国観光業界の悲鳴 「遅れてきた韓流」に頼らざるを得ない状況
産経新聞 1月21日 8時35分

中国人客離れ、韓国観光業界の悲鳴 「遅れてきた韓流」に頼らざるを得ない状況
昨年2月、「春節」の張り紙が掲げられた店で買い物をする中国人観光客ら=大阪市中央区のツルハドラッグ戎橋店(門井聡撮影)(写真:産経新聞)
 中国の春節(旧正月)シーズンを前に、韓国の観光業界が悲鳴を上げているという。昨年7月の米軍による高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備決定の発表後、中国政府が「報復」として韓国旅行を制限しているとされ、従来のような春節特需が見込めそうもないからだ。そんな中、韓国側が注目し始めたのがタイやインドネシアなど東南アジアの国々。背景は韓国ドラマなど韓流の拡散だという。言ってみれば「遅れてきた韓流」に頼らざるを得ない状況に陥ったわけだ。果たして中国人観光客の抜けた穴を東南アジアで埋めることができるのだろうか。

 春節を前に、聯合ニュース(日本語電子版)は韓国の旅行業界の関係者の話として「1月に入り、韓国を訪れる中国人観光客の数が減少している」とし、「パッケージ旅行の観光客数が半減した」と伝えた。さらに別の関係者が「『今年の春節は商売上がったりだ』という話まで出ている」と述べ、免税店関係者も「昨年の春節に比べて、中国人客による売り上げは減る」と予想しているという。

 データを見れば歴然だ。THAADの韓国配備決定が発表される昨夏までは中国人客は増加を続け、7月には91万7519人を記録していた。しかし8月以降は4カ月連続で減少し、11月に51万6956人まで減少。中国人客の増加率も前年比で昨年7月は258・9%だったのに対し、8月は70・2%、9月は22・8%、10月は4・7%、11月は1・8%と急速に落ち込んでいる。

 免税店の売り上げも落ち込んでおり、ロッテ免税店では中国人による売り上げ増加率が昨年9月の前年比約50%から最近は30%台に下がっているという。中国政府は現地の一部旅行会社に韓国への旅行客の数を2割減らすとの指針を伝えたとされており、韓国の観光業界にとって、THAAD問題の余波がこれまで以上に深刻化することが懸念されているのである。

 中国にばかり頼っていられないと、韓国から目をつけられたのが東南アジア諸国。韓国紙、中央日報(日本語電子版)によると、東南アジアに深く食い込んだ韓流のおかげでこの地域では、韓国観光に対する認知度と選好度が高まっているという。その一方で、訪韓客の半分近くを占める中国人の認知度と選好度は下落しているというのだ。

 同紙によれば、韓国観光公社がニールセンコリアと共同で実施した「2016 韓国観光広告広報マーケティング効果調査」で、中国で韓国観光に対する認知度と選好度がいずれも下がっていた。認知度は15年の84・8%から昨年は81・6%で3・2%減少し、選好度も15年の80・4%から昨年は76・8%で3・6%低くなった。

 これに対して、認知度でタイ(84%)は昨年、15年にトップだった中国を抜きトップに躍り出た。中国の次にインドネシア(70・9%)、ベトナム(69・6%)が続いた。選好度も東南アジアで高まっており、日本と台湾は30%程度だったが、ベトナムは78・3%と最も高く、タイとフィリピンがそれぞれ77・7%で続いた。

 実際に東南アジアから韓国を訪れる人々は増えている。韓国文化体育観光部によると、東南アジアの主な6カ国の昨年の訪韓客数は前年と比べ大きく増加。ベトナムは55%、インドネシアは53%も伸びたという。

 その背景にあるのが、東南アジアにおける韓流の拡散とみられる。特に韓国ドラマが人気を呼び、関連消費が増えて韓国観光に対する関心も高まったという分析だ。中央日報によると、最近では買い物だけでなく暑い東南アジアでは見られない冬の雪やスキー場を目的にしたり、ウエディング撮影のために訪韓する東南アジアの観光客も増えているようだ。

 このため、韓国では中国ばかりを見つめていた観光産業の関心を東南アジアに転じてこの地域を積極的に攻略しなければならないという指摘が出始めた。韓国観光公社アジア中東チームの幹部は中央日報の取材に対し「低価格の団体観光の代わりに、韓流コンテンツと結合した商品開発に乗り出さなければならない」とし、「東南アジアの国々の中でも言語・所得など国ごとに特性が違うので、国ごとに合わせた戦略が必要になる」と強調した。

 “韓流”といえば、韓流スターの中国での活動を規制する「限韓令(韓流禁止令)」が本格化することへの懸念が韓国で高まっている。一方でそもそも日本では、大みそか恒例のNHK紅白歌合戦に韓国勢は5年連続で選ばれておらず、東アジアで韓流は締め出されつつある。そうした中、韓国は「遅れてきた韓流」とばかりに東南アジアに狙いを定めたわけだ。タイやインドネシア、ベトナム、フィリピンの人たちが中国人に代わって訪韓客の“主役”を占めるようになるのだろうか。はなはだ疑問ではあるが、様子を見たい。
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最終更新: 1月21日 8時35分
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中国政府、全国のゴルフ場100か所以上に閉鎖命令 2011年以降
AFP=時事 1月23日 22時7分

中国政府、全国のゴルフ場100か所以上に閉鎖命令 2011年以降
中国・上海で行われたゴルフの大会で、配置に就く従業員ら(2015年11月8日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】中国政府が2011年以降、全国のゴルフ場の6分の1に閉鎖を命じてきたことが明らかになった。富裕層とのつながりが問題視されているゴルフに対する取り締まりの一環とされる。

 中国共産党とゴルフの関係は微妙だ。地方の自治体はゴルフコース用に土地を売却することで利益を得ているが、ゴルフ場はエリート層と政治家たちが怪しげな取引を行う場所ともみなされている。中央政府は2004年に全国規模でゴルフ場の新設を凍結したが、これはほとんど無視された。

 国家発展改革委員会(発改委、NDRC)が22日にウェブサイト上で公開した声明によると、新たな取り締まりが開始された2011年以降、中国全土にあった683か所のうち111か所が閉鎖を命じられた。さらに経営者側が自主的に閉鎖したゴルフ場も11か所あった。

 またNDRCはゴルフ場18か所に対し不法占拠した土地の返還を求め、47か所に対し拡大の中止を命じた。

 NDRCによれば、ゴルフ場はチベット(Tibet)を唯一除く中国のすべての省レベルで存在する。中国のゴルフコースは世界レベルとして名高く、若手選手も輩出しているが、クラブの会員権は高額なためゴルフを楽しめる中国人はほんの一握りしかいない。2015年には宴会や高額の贈答なども対象となった綱紀粛正の一環で、中国共産党員8800万人がゴルフクラブへの入会を禁じられた。【翻訳編集】 AFPBB News
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最終更新: 1月23日 22時13分
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アパホテル炎上問題 「南京大虐殺」否定は「妄想」なのか? 中国が30万人にこだわる理由
デイリー新潮 1月23日 17時50分

アパホテル炎上問題 「南京大虐殺」否定は「妄想」なのか? 中国が30万人にこだわる理由
アパグループ|APA GROUP 公式HPより
 APAホテルの客室に、いわゆる「南京大虐殺」を否定する記述のある書籍が置かれていたことが、大きな議論を呼んでいる。

 中国側が「不快感」を表明するのはいつものことだが、日本でも批判的な人が多い。19日に放送された「スッキリ!」では、評論家の宇野常寛氏が、「陰謀史観」「歴史修正主義」「妄想」と、APAグループCEOの歴史観を徹底的に批判していた。

 中国とは異なり、日本ではこの南京事件について、様々な研究、検証が自由に行なわれている。様々な見解があるが、多くの研究が示しているのは、事件が「存在しなかった」というのは言い過ぎにしても、その実像は中国の主張する通りではない、という点である。これは決して「妄想」でも「陰謀史観」でもない。

 公文書など一次資料をもとに近代史を研究している有馬哲夫・早稲田大学教授は、近著『歴史問題の正解』の第1章「『南京事件』は中国のプロパガンダから生まれた」で、この複雑な問題を解き明かしている。

 その一部を抜粋して引用してみよう。

***
 
日本人は占領軍によって「知らされた」

 1937年7月7日の盧溝橋事件以降、日本が中国で戦線を拡大していったとき、日本の新聞はこぞって日本軍の大勝利を報道した。南京攻略戦に関しても、同年12月30日の朝日新聞は大勝利を報じている。

 この当時、そして先の戦争が終わるまで、この南京攻略戦の前後に起こった「虐殺事件」などとりあげる雰囲気ではなかった。日本が対米戦争に敗れ、連合国軍の占領を受けるようになって初めて、一般の日本人は「南京事件」について「知らされた」のだ。しかも、それをしたのは占領軍のCIE(民間情報教育局、日本のメディアと教育の改造を担当したGHQの部局)だった。

 CIEは、敗戦後の日本人に対する、いわゆる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」の一環として、次のような目標を達成するために設置された部局である。

「あらゆる層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在および将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事的占領の理由と目的を周知徹底せしめること」

 彼らにとって、南京事件は目標達成のための格好の材料であった。

 CIEは『太平洋戦争史』(1945年12月8日―12月17日)を日本の新聞各社に掲載させ、そのラジオ版である『真相はかうだ』を日本放送協会に放送させた。

 当初の目標は日本人に敗戦の事実を周知徹底することだった。
 
最初は「2万人」だった

 その後、次のような目標が決定されてからは、日本人に戦争に関する罪があることを周知徹底するという目標に取り組み始めた。

(1)アメリカは戦争犯罪者を罰することができるだけの道徳的根拠を持っていることを示すこと。

(2)戦争犯罪容疑者に措置が取られるのは人類のためであることを示すこと。

(3)戦争犯罪者を罰することが日本と将来の世界の安全を築くために必要であること示すこと。

(4)戦争犯罪者は日本国民の窮状に責任を負っていること、しかし、国民自身も軍国主義体制を許容した共同責任を負っていることを示すこと。

 これらの目標を手っ取り早く達成する方法は、日本軍による残虐事件を大々的にとりあげることだ。そこで、『真相はかうだ』は、ひとわたり日本軍の軍事作戦の大失敗の例を示したあとで、「南京の暴行」と題して日本軍による残虐行為をレポートした。

 さらにCIEは、このラジオ番組の内容を書籍化したものを『真相箱』というタイトルのもとに出版した。この本の「陥落前の南京」と題された章でも、日本軍が2万人(原文のまま)の中国人に行った「暴行」のことが詳細に記述されている。ラジオと書籍の2つのメディアで、日本軍による残虐行為を日本人に「周知徹底」させたのだ。

 CIEはなおも手を緩めなかった。1948年3月3日付の文書でCIEは、日本のメディアを通じて次のことをするよう局員に指示している。

「広島と長崎の爆撃は残虐行為である、そしてアメリカは償いの精神で広島復興に取り掛かられるべきである、と考えている人々の態度に対抗措置をとること」

 広島・長崎への原爆投下に対する日本人の非難を封じるための対抗措置とは、日本のメディアに日本軍が戦争中に行った残虐行為について報じさせることだったことはいうまでもない。残虐行為の内容は、原爆投下による広島・長崎の惨劇に見合うものでなければならず、犠牲者数も広島・長崎のそれに見合うものでなければならなかった。あとになればなるほど「南京事件」の被害者の数は膨れ上がっていくが、その理由の一つはここにあった。

 
被害者は「ヒロシマ・ナガサキ」よりも多くすべし

アパホテル炎上問題 「南京大虐殺」否定は「妄想」なのか? 中国が30万人にこだわる理由
【日本は「無条件降伏」をしていない】【真珠湾攻撃は「騙し討ち」ではない】第一次資料から次々と明らかにされる意外な真実――。自虐にも自賛にも陥らず、中国、韓国、ロシアのプロパガンダや、アメリカの洗脳教育を排し、冷静に歴史を見つめ直す、日本国民必読の書。
 つまり「南京事件」は歴史的事実としてよりも、日本人に罪悪感を植え付けるためのプロパガンダとして使われたのだ。

 中国が30万人(それより多い40万人でも50万人でもよさそうなのに)という数値にこだわるのは、広島・長崎の原爆の死者は合計で約20数万人なので、それより多い数値でなければならないということだろう。それによって、中国こそが最大の戦争被害国であって、原爆の被害はあっても、日本は加害国だということをはっきりさせたいのだ。

 その証拠に、中国人と韓国人は、広島・長崎の犠牲者の慰霊セレモニーや被爆者による世界平和のアピールに異常なまでのアレルギー反応を示す。日本が唯一の原爆被害国だということを強調して国際的に同情を集め、戦争加害国なのに戦争被害国であるかのように世界に平和をアピールするのは許せないということだ。

 中国にとって、30万人かそれ以下なのかということは、どちらの国が戦争被害国として世界からより同情をかちとるかという点で重要なのだ。

 
歴史資料は30万人説を裏付けられるか

 にもかかわらず、実際には、30万人という数値を裏付ける客観的資料は存在しない。よく引用され、中国がユネスコに世界記憶遺産登録を申請して認められた「南京大虐殺文書」にも指定されている南京安全区にいた欧米人の日記や記録でも、少人数の虐殺や暴行については目撃証言があるが、数百とか数千とかの単位のことになると伝聞ばかりになっている。

 あるのは、日本軍による100人単位(累計で数千人単位)での国民党便衣兵の処刑があったようだという伝聞情報と、ほぼ毎日のように行われる安全区にいた少人数の中国人に対する暴行(とくに女性に対する性的暴行)の目撃情報だ。

 
本当の問題はどこにあるのか

 しかしながら「人命は地球よりも重い」という考えを持ち出すまでもなく、「南京事件」の犠牲者のひとりひとりの命も重い。先の大戦で尊い命を失った日本人のことを悼むなら、中国人の戦争被害者の無念にも思いをいたすべきだ。さもなければ、原爆犠牲者慰霊セレモニーに舌打ちする中国人や韓国人を私たちは非難できない。命の重みに国籍の違いはない。

 日本軍による南京での残虐行為の犠牲者が、『真相箱』にも記述されているように、およそ2万人であって30万人ではないと証明しようとするならば、では2万人くらいならばいいと日本人は考えていると取られて、それがまた非難を浴びることになる。

 著者の経験では、日本人が「南京事件」の被害者を低く見ようとすると、第三者的立場にある国の人々からは、「日本人は中国人の命を自分たちの命より軽いと考えている」と解釈されてしまう。

 したがって、歴史的事実とプロパガンダとの間の違いを明確にする努力は続けなければならないが、それも数を少なく見積もろうとする意図に基づくものであってはならない。

 南京安全区にいた欧米人(多くはキリスト教布教関係者)も、必ずしも数を重視してはいない。非難の矛先は、自分たち白人にはなにもしないのに、同じ黄色人種である中国人には容赦なく残虐行為や暴行を行う歪んだ優越意識に向けられている。

 したがって、「南京事件」で争うべきは、数ではなく、誰がどんな間違いをしたのか、でなければならない。数は客観的に証明できないが、これらのことは客観的に明らかにすることができる。仮に中国側が自分たちに有利になるよう歴史を改変したり、ねつ造したりしても、歴史的事実を示して反駁することが可能だ。

***

 このように述べた上で、有馬氏は資料を丹念に読み解きながら、南京事件の実像を明らかにしている。

 南京事件を全否定するのも乱暴だが、一方である種の見方を「妄想」と片付けるのもまた理性的な態度とは言い難い。自由な言論の許されている日本では、豊富にある客観的な研究成果をもとに冷静が議論が行われることが望ましいだろう。

 2015年、中国が「南京大虐殺文書」をユネスコ世界記憶遺産に登録させることに成功したことをを日本では「外交敗北」と否定的に捉える向きも多かったのだが、有馬氏は、

「文書の登録で、中国は今後試練にさらされることになるだろう。インターネット時代では、情報発信したことがネットにそのまま残るので、世界の人々が時間がたつうちにプロパガンダと歴史的事実の乖離に気付くようになれば、この登録が逆にマイナス要因となって中国のイメージを永続的に悪化させていく」

 と見ている。
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中国のネットユーザー数、7億3100万人に 欧州の人口と並ぶ
AFP=時事 1月23日 18時13分

中国のネットユーザー数、7億3100万人に 欧州の人口と並ぶ
中国・北京のインターネットカフェでゲームをする利用客たち(2015年12月16日撮影、資料写真)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】中国当局は22日、世界最多を誇る同国のインターネットユーザー数が昨年12月に7億3100万人に達したと発表した。中国国内では近年、特にオンラインショッピングを利用する消費者の需要が高まっている。

 中国の政府系調査機関、中国インターネットネットワーク情報センター(CNNIC)がウェブサイトに発表した声明によると、国内のインターネット総ユーザー数は2015年12月から6.2%増加し、欧州の全人口に並んだという。

 またCNNIC によると、国内でパソコンを利用する人の数は減っているが、一方で携帯電話でインターネットを利用する人の数は6億9500万人に上り、インターネットユーザー全体の95.1%を占めるという。

 中国では昨年、同国の電子商取引大手アリババ(阿里巴巴、Alibaba)が「独身の日」と称して11月11日に行ったオンラインショッピング・イベントで178億ドル(約2兆円)を売り上げ、米国で11月下旬の感謝祭(Thanksgiving)からサイバー・マンデー(Cyber Monday)までの5日間に当たる米最大のオンラインショッピング期間の売上額の2倍以上を記録した。【翻訳編集】 AFPBB News
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アパホテル、ネット予約できず=南京事件否定の書籍批判-中国
最終更新: 1月23日 18時48分
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ネット規制、さらに強化=VPNを許可制に―中国
時事通信 1月23日 19時32分

 【北京時事】中国工業・情報化省は22日、当局の許可なくインターネットの仮想プライベートネットワーク(VPN)の提供を禁じる通知を出した。

 VPNは当局の検閲規制を乗り越えるもの。中国では、グーグルなどの規制対象サイトはVPNを通じて閲覧されてきたが、接続が一層困難となりそうだ。

 中国では、当局に不都合な情報を規制する「グレート・ファイアウオール」という検閲システムが使われている。フェイスブック、ツイッターのほか、体制批判の記事を掲載する海外サイトなどの接続にVPNが利用されている。

 今回の通知は、ネット情報の安全管理強化を名目に、来年3月末まで不正取り締まりを行うと定めている。

 中国当局は海外からの情報流入に神経をとがらせ、これまでもVPNが機能しない状態になることがあった。今回の通知は、習近平指導部の2期目の人事を決める5年に1度の共産党大会を秋に控えた言論統制強化の一環とみられる。 
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最終更新: 1月23日 22時56分
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 大統領就任前「中国からの輸入品に45%の関税をかけろ」と中国を目の敵にしてきたトランプ氏。就任初日に中国を「為替操作国」に指定するとも発言していた。また就任前とはいえ、1979年の米中国交化正常化以来、初めて台湾総統と電話会談を行った。これに対し「一つの中国」を掲げる中国は激怒。

 しかし、トランプ氏はどこ吹く風。「軍用品を買ってくれるのに電話を受けないのはあまりに失礼だろう」「『一つの中国』を含むすべてが交渉の対象だ」と語った。中国の習近平国家主席は「保護主義はきっぱりと反対する。貿易戦争を行えば、お互いに傷を負い、共倒れになるだけ」と述べた。

 トランプ氏の大統領就任で先行き不透明の米中関係はどうなるのか。

「トランプ氏は貿易摩擦を正面に掲げて中国とは本気で戦うつもりだろう。口先だけじゃない」と指摘するのは自民党参議院議員・青山繁晴氏だ。「関税を上げるのはできない。関税かける代わりに国境税という形だってある。彼は“天才的破壊者”ですから。『一つの中国』といって今までワシントンや日本が従ってきたものをたった一言で壊した。シンプルな外交だ。すべては商売、取引のため」と言う。

 国際コラムニストのケビン・クローン氏は「中国は軍事的にも拡大してきていて、その圧力はロシアでも感じている。だからこそ、トランプとプーチンが近づくのは理由がある。中国をロシア、アメリカから挟み撃ちしようという考え方が根底にはある」と持論を述べる。青山氏も「中国は劣勢。仮に中国軍が米軍と戦ったら歯が立たない。絶対に勝てない」と断言する。

 台湾政策を変えたことについてはジャーナリストの山口敬之氏は「これからの10年、20年を見た時にアメリカに対抗してくる可能性があるのは中国のみ。最も重要なのは今なら中国と戦争したら勝てるということ。だからいくら中国を刺激しても“暴発”はないと踏んでいる」と語った。

 青山氏は「オバマ時代、中国に寄り添うカタチで外交を進めてきたが何も好転しなかった。だから一旦は対中強行政策をトランプ氏が仕掛けることは正解だろう。今しかない」と評価する。

 果たして米中関係はどうなるのか。引き続き注目だ。

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